七夕の夜のこと(2019)
僕のせいでごめん
何度もそう言われて、違う、そうじゃない、どちらかが悪いことなんてないんだから、変化が起きた時も持続可能な関係じゃなかっただけなんだから、
そう思ってたのに、
私が悪い
と思ってたことに驚いた、
もしくは
私が裏切った
という罪の意識。
健康体だと思ってた人が、
元気がなくなって、辛そうで、
追い込まれていって、
一緒にいない時にその人が生きてるか、
この地球に存在しているのか、
不安で仕方なくなったことある?
たくさんの書類と書類の重さでボロボロになったダンボールが散乱していたあの会議室は、ぐちゃぐちゃなその人の心を表しているようで涙が出そうになった。それを見た別の人は「殺人現場かと思った」と言った。
自分の大切なひとが、わたしをいつも助けてくれた人が崩れていく瞬間を見続けるのは本当に精神を削られて、でもそんなこと言えなくて、
どうしよう、どうしよう、どうしたらいい?
通勤の電車でいつもずっと考えてた。
分かんなくて泣いた。
自分の仕事をそっちのけにして
彼の仕事を手伝った
休日もこっそり会社にきて作業した
これは全部
もう済んだことで、
もうその人とは別れて、
もうその人は退職して、
新しい仕事と新しい恋人がいて、
それはわたしもおなじで、
それなのに何度思い出しても、
これを書きながらもずっと涙が止まらない。
色んな気持ちが交錯してた。
何かが解決出来ていないのかもしれない。
相談に乗ってもらっていた友人には、
あのときの私はなにか様子が変だった
と言われて、そんなこと自分で全然分からなかったからびっくりした。
だって私はその人を好きでなくなってたことに自分で気付けなかった。
彼の精神状態だけでなく、
いくつかの状態のことですれ違いが生じて少し距離を取ることにしてから、
そろそろ連絡しなきゃまずい
そう思うのに、連絡が億劫で何週間も先延ばしにしてた。
今思えばそんな自分の態度は
彼の不安やモヤモヤを増幅させるだけなんだけどその時はそれも分からなかった。
ようやく連絡をして、どんな流れだったかはもうよく覚えていないけど、
最後のデートだと思って、
付き合ったばかりの時に行った川崎の美術館に行った。
どんな風に過ごしたか全然思い出せない。
美術館に入った記憶もない。
ただ、美術館前の公園のベンチに2人で腰掛けて、どうしても別れを切り出せなくて、その場では別れないことになったのだけ覚えてる。その後どうやって帰ったかも覚えてなかった。
いつも何かあるとすぐにゼロヒャク思考で別れをしてきた自分にとって、よくわからない行動だった。
でもやっぱり優しくできなくて
コンスタントに連絡を取るのも嫌になってた。
彼が仕事を心底憎んだときに、
私がそれに情熱を捧げたいと思ってたからだと思う。タイミングは180度合わなかった。
小さな子どもみたいに思ってた。
そんなの変だし間違ってるよ、
そう言われても私はそう感じてた。
一緒にいるのもどんどん辛くなっていった。
一緒に映画を見てご飯を食べた。
向かい合わせで座って食事をして、
あれは何故だったんだろう、
不意にどうしても堪えられない涙が出た。
今思い出してもあの瞬間が苦しい。
私が足早に過ぎる道で立ち止まって写真を撮るその人をみて、もう流れる時間のスピードが違うんだって思った。
その人が私のことを少し怯えるようになった、中野駅のホームで、電車を待つ間のあの時間は覚えてる。
上手くお出かけの計画が立てられなかった時に、私が不機嫌にでもなったんじゃないかな、違うかな。
これ以上今日一緒にいるのはなんだかしんどい、申し訳ないけれど。そう思ったから夕食は居酒屋さんではなく目の前の汚いラーメン屋さんを選んだ。
書き出して見ると、別れを切り出すタイミングはいくつもあった。
でも別れなかったのは優しさとかそういうのじゃなくて、単に彼が私にとって人生で初めての恋人だったからだと思う。変な日本語だけど、私は初めて恋人と分かり合えたと思ったのだ。
しかも彼氏じゃなくて、恋人だと思ってた。
生まれて初めて結婚すると思った。
しませんでした。
このまま付き合い続ければ、
全部時間が解決してくれるんじゃないかとも思ってた。
でもどうするか決めなきゃいけない、
考えて結論を出さなきゃいけない、
そんな時に私は自分が幸せになれるかの方程式を解き続けていることに気付いた。
2人で幸せに、彼が幸せに、ではなく
自分の幸せや生活ばかりを考えている自分に気づいて、この時にやっともう別れなきゃいけないって思いはじめた。
でも確かその日の夜、
七夕だった、
雨が降ってた、
「もう無理しないでいいから」
と向こうから別れを切り出された。
その時に無理なんかじゃないとは言えなくてそのまま別れることになった。
私がフラれたのかフラせたのか何なのかよく分からないけど、相手から別れを切り出されたのは初めてだった。
そして、自分がその人を好きでなくなってることに気づいたのだった。それでも好きでいたくてもがいていたのがあの苦しい時間でした。
去年の七夕の夜の話。
人の気持ちって、自分の気持ちって、
願いとは裏腹に簡単に変わるんだ、なくなるんだ、じゃあ今に固執する理由って何だろう?
今日好きな男の子を何年先も好きでいるなんて無理だね、
そう思ったらひたすら恋愛がどうでもよくて、さらに勝手に自分にかけてた制限から勝手に解放されて、ちょっと狂ってた(詳細割愛)
何回か占いに行ったときに恋愛のことをそれとなく聞いてみたけど
「あなた誰のことも興味ないでしょ」
とズバリと言われてびっくりした。
(私が態度に出てたのか?)
でもそんな狂ってる私のことも
あたたかく見守ってくれて
むしろちょっと興味深げに聞いてくれたり
素直でピュアなコメントをくれたりする友だちに心底救われた。
ちなみに、その時の私はちょっと狂ってただけで、今はちゃんと彼氏もいるし正常だよ☆
というつもりは別になくて多分今も狂ってる、わたしは一生狂ってる、しょうがない。これがわたしの普通だから、これを愛してくれるひとじゃないと、友だちも恋人もできない。
一緒に楽しく狂っていけるようなひとが
私にとって友であり愛する人なのかもしれない。もしくは狂ってるわたしを笑ってくれるひと。
恋愛を文章で表現することが私の昇華法なんだけど、ずっと書かずにいたから書いてみました。残念ながら当時のことは苦い部分がまだ多いので書きながら涙が止まらず(翌日に支障をきたすレベル)どうなることかと思ったけど、なんか涙おさまったしよかった。
ちゃんと貝殻を海に返せた気がする。
過去はいつだって変えられるんだから大丈夫、血管に気合い入れてこ。